TOP 食バンクマガジン 大阪・新世界の巨大な串かつ居酒屋「横綱 通天閣店」の店長を任された26歳
スタッフインタビュー
スタッフインタビュー
大阪・新世界の巨大な串かつ居酒屋「横綱 通天閣店」の店長を任された26歳
大阪・新世界の巨大な串かつ居酒屋「横綱 通天閣店」の店長を任された26歳
2019年3月30日
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「新世界」といえば大阪でも有数の観光スポット。いつ足を運んでも通天閣をバックに記念撮影をする人の姿で賑わい、道頓堀あたりと並んで「THE 大阪」という感じがする風景である。
また、「新世界」エリアは串かつタウンとしても知られており、チェーン店から個人店まで大小様々な規模の串かつ店が通天閣のまわりやジャンジャン横丁あたりにかけてひしめいている。いわば串かつ激戦区なのだ。
その串かつの聖地・新世界にあって、他店を圧倒する規模を誇る大型店が「日本一の串かつ 横綱 通天閣店」だ。「日本一の串かつ 横綱」は2005年に新世界にオープンした串かつ居酒屋で、現在、大阪市内に10店舗を展開している。
そのうち新世界エリアだけで3店舗、お隣の天王寺にも1店舗を構えているが、特に規模が大きいのが「通天閣店」だ。大きなビルの2フロアが客席になっており、席数は2階が150席、1階が80席。100名以上の宴会を行うこともできるという広さ。
外観はとにかくド派手。大きなビリケン像も鎮座し、道行く人の記念撮影スポットになっている。
24時間営業で年中無休という営業形態。見上げていると「串かつ不夜城」というフレーズが浮かんでくる。
この「日本一の串かつ 横綱 通天閣店」、なんと店長が26歳の若さだという。なんでも、同じ「日本一の串かつ 横綱」の他店舗から大抜擢され、2019年の2月から店長を任されているのだとか。これだけの大きな店を任されるとは……自分が26歳の頃に何をしていたかと思い返すと、相当なギャップを感じる。
今回、その「日本一の串かつ 横綱 通天閣店」の店長・島田勝弘さんにお話を伺う機会を得た。新世界の大規模な串かつ居酒屋の店長は一体どんなことを考え、どんな風に仕事をこなしているのか、気になることをあれこれ聞いてきたので紹介したい。
こちらが「日本一の串かつ 横綱 通天閣店」の店長・島田勝弘さん。飄々とした雰囲気でありつつ、時おり見せる笑顔がキュートな彼の、仕事内容から聞いていこう。
――いきなりなのですが島田さんの店長としてのお仕事内容はどのようなものですか?
「大きな店舗なので、アルバイトの方も含めて80~100人のスタッフが働いています。その大勢のスタッフで円滑に店を回せるように管理することが店長として重要な仕事です。人の管理が一番で、それには雰囲気づくりももちろん大事です。できるだけみんなとコミュニケーションを取って、活気のある雰囲気を作るのも僕の役割です。あとは店の中で常に全体を見ながら困っているスタッフがいたらサポートしたり、判断が必要な際にアドバイスをしたり常に色々やることがありますね。忙しいです(笑)」
――今年(2019年)の2月からこちらの店長になられたということですが、それまでは別の店舗にいらしたんですか?
「それまで1年間は梅田の『横綱 堂山店』におりまして、そこで店長をしていました。その半年前までは『横綱 お初天神店』で、そこでは店長ではなく店舗責任者という役職でした。さらにその前の3年間は、『横綱』とは別なんですけど、『HASSIN(『日本一の串かつ 横綱』をはじめとした多数の飲食店を運営する企業)』グループのキッチンの方で仕事をしていました。もっと前は、畑違いなんですけど不動産の営業をしていたり。でも高校の頃も『HASSIN』でキッチンのアルバイトをしていました」
――若くして、系列店に関わっていた歴はかなり長いということなんですね。
「そうですね。経験は確かにあるかもしれないです。でも以前はキッチンの仕事でしたから、店長とはかなり違いますね」
――そして今ではこんな広いお店の店長をしていると、それはやはり仕事ぶりが認められたんですか?
「そうなんですかね(笑)自分でもびっくりなんですけど」
――最初にこのお店の店長を任されることになった時はどう思われたんでしょうか。
「驚きましたね……。はじめは『ちょっとハードル高いな』とも思いました。でもその反面ワクワクもしました。どこまで自分の力を試せるんかなって。それまでいた『堂山店』も規模は大きかったんですけど、ここはちょっと別格なので(笑)」
――以前に「堂山店」で店長をされていた時の感覚とはまた違うんですか?
「全然違います。まず、梅田とはエリアが違うのでお客様の層も違います。それはもちろんなんですけど、スタッフの雰囲気も違うんですよ。梅田エリアですと大阪でも北側のエリアの出身のスタッフが多いんですが、こっちだと南の方になるので、ノリがまず違うんです(笑)」
――そういうものなんですか!
「ノリがちゃいますねー。でも僕はもともとこっち側なんでそこは大丈夫です。やっぱりスタッフとコミュニケーションを取る上で地元の話は大事なんですよ。『どの辺住んでるん?』みたいな。スタッフは平均すると年齢的に20代前半の方が多いので、自分も割と歳が近いです。だから溶け込みやすいっていう良さもあって、反面、仲良くなり過ぎるところもありますね(笑)」
――これだけ大きなお店の店長を任されて、最初から手ごたえを感じましたか?
「いや、最初は全然なかったです。まず大きさに圧倒されて、やっていけるんかな……って。体感でいうとそれまでの3、4倍ぐらいの規模で、そうなると仕事量も3、4倍で、もちろん売り上げも3、4倍になってきます。一個の店舗なんですけど、今までの自分からすると同時に3つ4つの店舗を見ているぐらいの感覚でした。でも時とともにそこは慣れていきますし、お客様の数も多いんでそれだけ楽しみもありますから」
――これだけ人の多いエリアで、しかも24時間営業ですよね。そこはかなり大変そうだなと思うのですが。
「24時間って、自分一人じゃ絶対に無理なわけじゃないですか。スタッフの力を借りて、みんなで協力しないと回っていかないんです。だからスタッフと密にコミュニケーションをとるようにしています。自分が店長として期待されているっていうのはチャンスだと思っています。この店の店長ができたら他のどの店舗でもやれると思うんで、自信にはつながります」
――ご自分の労働時間のバランスには気をつけていますか?
「そうですね。ただこの仕事も長いので忙しさをあんまり苦に感じないというか、やりがいの方が大きいですね。飲食をやる以上、ある程度の忙しさは覚悟しないとなとも思いますし、その覚悟があればどんどん上を目指せると思うんです」
――島田さんはお若いですし、他の業界で働く選択肢も色々あったかと思います。その中で「ここだ!」と覚悟を決めたきっかけはあるんでしょうか。
「一度、飲食を離れて不動産関係の仕事した時に、やっぱり自分がやりたいことと違うなと思って、もう一度HASSINでアルバイトを始めたんです。そしたらHASSINの社長が僕がアルバイトしてた店にヘルプに来てくれたんですよ」
――社長さんでもヘルプに入るんですね!
「HASSINは現場主義的なところがある会社なので社長も現場に積極的に入っているんです。その時に『もう一回うちでやらへんか』って声をかけてもらったんです。で、『わかりました』って。社長から直々に言ってもらったんで、そこで自分なりに覚悟を決めました。逃げられへんなって(笑)」
――HASSINさんは若い人をそうやって引き上げていくような社風があるんですね。
「そうですね。他の店舗でも、年齢的に若い店長が多いです」
――大勢のスタッフをリードしながら働く上で、島田さんが気をつけていることはありますか?
「スタッフのみんなにいつも言ってるのは『ウソをつかない』ということなんです。一人一人に得意不得意があるのは当然なので、仕事の上でできないことはできないと正直に教えて欲しいと。そうすれば教えることもできるし、適性にあわせて他のスタッフに任せることもできます。無理に苦手なことをやる必要はないと思っています。どんなことでも正直に言い合えるような環境を作っていきたいとはいつも思っていますね」
――スタッフのみなさんをやる気にさせるコツなんかはありますか?
「その点も、これだけの規模になると自分で全員のモチベーションを引っ張り上げるのは無理なんですよ。なので、全体の中でムードメーカーになってくれるようなスタッフを起点に、いい雰囲気が共有されていくように心がけています」
――新世界エリアは串かつの激戦区だと思うのですが、どういうところを「横綱」の魅力だと考えていますか?
「広さもありますので、色々なお客さんに来てもらいたいと思っています。うちは串かつがメインではあるんですけど、串かつに次いで人気メニューになっている『メガ盛り』系の料理もありますし、大阪の居酒屋の定番メニューも色々揃えています」
「たこ焼き、お好み焼きなどの粉ものもありますし、『ここに来たら大阪名物がひととおり食べられる』というメニューの幅広さが魅力だと思っています。『私は串かつ食べたい!』『私はお魚!』みたいに、大人数で来てもそれぞれの食べたいものが絶対にあるというのが売りかなと。深夜もやっているので終電を逃した方もゆっくりしていってもらえますし、動物園が近いので週末はお子様連れのお客さんも多いですよ。あと、最近では海外からの観光の方もすごく多くて、大阪名物を色々食べてもらえるので好評ですね」
――島田さんが思う、飲食店、飲食業界で働く楽しみってどんなものですか?
「やっぱりお客さんが帰る時に『ありがとう、おいしかったで』って言ってくれる時ですね。僕が若い店長っていうこともあって『おお、キミが店長か!若いなー!頑張ってるなー!』と言ってくれるお客さんが結構いて、励みになります。盛り上がってそのまま結構長いことしゃべったりします(笑)」
――お休みの日はどうしていますか?
「休みの日は思いっきり遊びにでかけてますね。大阪の外に遊びに行くことが多いですね。そのかわり半休の時はたっぷり寝てます。メリハリをつけるのが一番体調的にもいい気がしています」
これだけの規模の店だからこそ、うまく回るかどうかは、スタッフの働きにかかっている。インタビュー後に店内を撮影させてもらっていると、島田さんがスタッフの方とすごく気さくに楽し気に会話しているのが目に入ってきた。
その様子は「店長とスタッフ」という堅苦しさを感じさせないもので、どちらかといえば島田さんがからかわれてみんなが笑っているような雰囲気。この壁のない感じが島田さんが通天閣店の店長に抜擢された理由の一つなんじゃないかと思った。
『横綱 通天閣店』店舗情報
住所:大阪市浪速区恵美須東3-6-1
営業時間:24時間
定休日:なし (年中無休)
TEL:06-6630-8440
お店の公式サイト
取材・撮影・執筆:スズキナオ(@chimidoro)