飲食業界はよく「離職率が高い」「ブラック」「3K職業」と言われます。実際、厚生労働省が発表した平成29年雇用動向調査結果でも「宿泊業・飲食サービス業」は、他の産業に比べ離職率が突出して高いのが見てとれます。しかしなぜそれほどまでに飲食業界は離職率が高いのでしょうか？単に給料が安い、勤務時間が長いだけが理由なのでしょうか？

今回はそんな飲食業界が抱える問題点、離職率ダウンのための取り組み、さらに飲食業での転職を考えている方が、求人情報を見る際に注意しておきたいポイントも併せてご紹介します。

飲食業界が抱える問題

１・深刻な人材不足

飲食業は他の業界と比べると、圧倒的に勤務時間が長いのが以前から問題視されています。「それなら人を雇って交代制にすればいいのでは？」と普通なら誰でも考えることですが、現在深刻な人材不足により「人を雇いたくても雇えない」というお店は少なくありません。

求人サイトで何十万円もかけて募集を出しても、社員はおろかアルバイトも中々採用出来ないという声もよく耳にします。スタッフがいなければ、当然ながら1人当たりの負担は大きくなります。負担が大きくなればなるほど、今いるスタッフもきつくなって辞めてしまう。しかしスタッフの補充が出来ず、さらに負担が大きくなるといった、負のスパイラルに陥っているのです。

２・マイナスイメージ

飲食業界は離職率も高いですが、入職率が高いのも特徴です。これはどういうことかというと、他の業界に比べて特別なスキルを必要とせず、単純作業が多いというイメージが先行し、比較的仕事が始めやすいのが理由と言えます。実際、学生時代のアルバイトでは、多くの人が飲食店を経験されたことがあるのではないでしょうか。しかし、いざ働いてみると「店長を見てると大変そう」「飲食店には就職したくないなぁ」「ここで長く働ける自信が無い」と感じてしまいます。

そしてテレビでもしばしば社員の過労や残業代の未払い、長時間勤務などの問題が報道されるなど、“飲食業＝ブラック”というイメージが広く浸透してしまっているのが実情です。そんなマイナスイメージから、「飲食店では働きたくない」または「飲食業は将来性が無い」という声が多く聞かれます。こういった理由から、ますます人の採用が難しく、また離職率が高くなることが考えられます。

従業員満足で離職率を下げる

ここまでは、飲食業界にとって少々耳の痛い話が続きましたが、だからと言って何もしないわけにはいきません。ではどうしていけばいいのでしょうか？それはズバリ！従業員の満足度を上げることです。従業員の満足度を上げることは離職率の低下だけでなく、お店の質向上にも繋がります。以下に、具体的な従業員満足度アップの事例をご紹介します。

１・具体的な目標を設定してモチベーションアップ！

単純作業になりがちな業務も、明確な目標を持たせることでモチベーションアップに繋げます。社員だけでなくアルバイト一人ひとりに明確な目標を設定し、それをクリア出来たら全員で称賛するようにしましょう。そうして一つひとつ目標を達成することで、さらなる目標に向かって頑張れますし、仕事にやりがいと楽しさを見いだせるようになります。

２・スタッフとの密なコミュニケーション

日々の業務の中で、上司やお店に対する不満を抱えていても、中々それを表に出すのは難しいものです。普段から店長やオーナーがスタッフとのコミュニケーションを密にとることで、そういった意見を出しやすい環境づくりを心がけましょう。大きなお店で全員に声をかけるのが難しいようでしたら、アンケートを取るのもオススメ。些細な不満やふとした気づき、普段聞けない本音などを吸い上げ、従業員満足の向上に活かします。

３・キャリアアップできる環境づくり

どんな業界・仕事においても、働く理由に「成長」を挙げる人は多く、キャリアアップできる環境を作ることは、従業員満足のアップ、さらには離職率の低下に繋がります。アルバイトであっても売上などの数字を共有し、将来に活かせるビジネス感覚を養ったり、プロとしての知識や考え方を学べる仕組みを導入するなどして、従業員の満足度を高めましょう。

まとめ

依然として飲食業界を取り巻く環境は厳しいですが、環境改善に向けて取り組みを強化しているお店・会社もたくさんあります。たくさんある求人の中からそういった会社を見極めるのは中々難しいですが、将来的なビジョンが明確で、なぜ募集するのかを具体的にしている会社は、人材不足でとりあえず人がほしいというお店に比べ、従業員満足に向けた取り組みがしっかりしていたり、計画立てて取り組む姿勢が感じられます。転職する際、ついつい労働条件だけに目が行きがちですが、今回ご紹介したポイントで求人情報をチェックしてみてください。

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