TOP 食バンクマガジン 今さら聞けない疑問を解決!「調理師」と「料理人」の違いについて詳しく解説
職種別の特徴
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今さら聞けない疑問を解決!「調理師」と「料理人」の違いについて詳しく解説
今さら聞けない疑問を解決!「調理師」と「料理人」の違いについて詳しく解説
2019年4月17日
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料理を作り提供する人のことを一言で表す時には、「調理師」や「料理人」という言葉が思い浮かんできます。どちらも料理をする人という本質は変わりませんが、この2つには大きな違いがあることをご存知でしたか。例えば転職を考えた時、求人情報の応募資格欄をよく見てみると『調理師免許必須』と書かれている場合もあります。自身のキャリア形成のために2つの違いを知っておくことも大切です。今回は「調理師」と「料理人」の違いについて、詳しく解説していきます。
調理師免許の有無が「調理師」と「料理人」の大きな違い
「調理師」と「料理人」という2つの言葉の大きな違い。それは、「調理師免許」を有しているかどうかという点にあります。
調理師とは?
調理の業務にたずさわる人。調理師法により、都道府県知事の免許を必要とする。(出典:広辞苑)
調理師とはその名の通り調理という業務に携わる人のことであり、かつ各都道府県の知事が発行する「調理師免許」を有する人のことを指します。
料理人とは?
料理をする人。料理を作るのを業とする人(出典:広辞苑)
料理人もその名の通り、料理をすることを自分の職業としている人のことを言います。ただ一つ大きな違いがあるのは、料理人という職業の説明の中に「調理師免許」が含まれていないということです。
料理人は調理師免許を有していない人でも名乗ることができますが、一方で調理師を名乗る場合には必ず調理師免許を有していないといけません。
これは厚生労働省によって昭和33年に制定された「調理師法」という法律に定められていて、調理師免許を持たない無資格のものが調理師を名乗った場合には罰金刑に処されることもあるので、十分に注意したいところです。
全国の調理師の数は年々増加しており、平成29年には3,817,774人に達しています。この数を見ると、たくさんの人が調理師免許を保有していることがわかりますね。(参考:公益社団法人 全国調理師養成施設協会)
調理師免許は飲食店で働く際に必ず必要ではない
調理師免許は調理技術の高さを証明してくれるものであって、調理業務の許可を与えているものではありません。つまり調理師免許を持っていない「料理人」でも、飲食店で調理業務を行うことは可能です。実際、飲食店の求人情報を見てみると、応募条件に「調理師免許」と記載されていない募集が多数を占めていると思います。
「それなら調理師免許を取らなくてもいいのでは……」
そんな疑問を持つ人も出てくるかと思いますが、調理師免許が必ず必要となるケースはちゃんと存在しています。では次に、調理師免許が必ず必要となるケースをいくつかご紹介していきましょう。
調理師免許が必要になるケースはこんな時
日本国内の飲食店で調理業務に携わる場合、ほとんどは調理師免許を必要としません。しかし、以下の2つのケースでは必ず調理師免許が必要となりますますので覚えておきましょう。
学校給食などの仕事に就く時
小学校、中学校などのいわゆる「学校給食」の調理の仕事は、そのほとんどが「委託」によるものです。学校を管轄している自治体が定期的に給食委託会社を選定するのですが、その条件のひとつとなるのが調理師・栄養士の配置。自治体にもよりますが、事業所ごとに最低何人の調理師がいる、という風な規定があるのです。そういった理由から、学校給食などの調理委託会社への就職は、調理師免許の有無を問われます。
また、学校給食だけでなく介護・病院などの給食調理の求人を見てみても、調理師免許保有が条件であることが多いです。給食委託会社への就職・転職を考えるなら、取っておくべき資格と言ってもよいでしょう。
フグ調理師免許の取得
体内に猛毒を持つフグの調理を行う場合には、「フグ調理師免許」が必要となります。またフグを扱う飲食店も、自治体へ「ふぐ処理業許可」の申請が必須とされています。とは言え、求人情報欄で「フグ調理師免許保有者」と書かれていることは非常に稀です。就職・転職の時点で必ずしも必要とは言えませんが、高級料亭や日本料理店など、フグを扱うお店にとってはフグ調理師免許を持っている人は重宝されます。
このフグ調理師免許と通常の調理師免許は別物ですが、フグ調理師免許を取得する際には、まず調理師免許が必要となります。飲食店において色々な食材を扱えるフグ調理師免許を取得することができれば、転職の際に大きなアドバンテージを得ることができるでしょう。
海外の飲食店で働く時
海外の飲食店で働く場合には、就労ビザが必要です。その就労ビザの取得において、日本の調理師免許は重要な書類として扱われます。
・海外の有名レストランで修行をしたい
・独立後に海外進出・展開をしたい
このようなキャリア計画を立てているのならば、確実に就労ビザを取得するため調理師免許を取得しておいたほうが良いでしょう。
まとめ
今回は言葉の上で混同しがちな、「調理師」と「料理人」の違いについて詳しく解説しました。「調理師」と「料理人」には調理師免許の有無という大きな違いがあり、調理師免許を持っていることで名乗ることができる肩書も変わってくるのです。また飲食業界での転職・独立・開業、さらには海外進出など、あなたのキャリアプランにも調理師免許の取得は深く関わっていきます。これからのキャリア形成を見据え、自分が「調理師」として生きるのか、「料理人」として生きるかのを考えてみてくださいね。